今回は従業員持株会のメリットデメリット、20代の若手サラリーマンの私が考えた若いうちから持株会を利用するメリット、デメリットについて解説します。
従業員持株会制度とは
従業員持株会制度とは、会社に勤める従業員がその企業の株式を毎月給料から天引きで購入できる制度です。
毎月企業の株を購入できるだけでは、従業員側にとってメリットが薄いですが、持株会で株を購入する際は企業側が奨励金として購入の5%から15%程度を負担してくれます。
奨励金の額は企業によります。従業員にとっては、毎月定額決められたタイミングで割安で勤め先の株を購入できる嬉しい制度です。
従業員側のメリット
・株を安く購入できる
・ドルコスト平均法で購入できる
・インサイダー取引が適用されない
・給料天引きのため資産形成が楽
株を安く購入できる
相場よりも安く株式を購入できるのは、非常に大きなメリットです。株式投資をしている方であれば理解いただけるかと思うのですが、株で5%から15%程度の利益を上げるのは簡単ではありません。5%程度までなら、購入したタイミングから株価が落ちたとしても元本割れしないのは非常に心強いです。
ドルコスト平均法で購入できる
ドルコスト平均法とは、金融商品を購入する際に一括で購入せずに資産を分割して定期的に購入する手法です。
ドルコスト平均法で購入するメリットは、高値掴みを抑えて安定的に利益を生み出すことです。
長期的に定額購入することで、高値でも安値でも購入して安定的な利益を生み出すことが期待できます。
インサイダー取引が適用されない
法律の解釈でグレーなところではあるのですが、通常自分の勤めている会社の株式は証券会社から購入できません。購入するとインサイダー取引となってしまう可能性があります。
企業の従業員は、外部の人が知らない内部情報を知っている可能性があり、後の株価に影響する重要な情報を持った上で株の取引ができてしまうためです。インサイダー取引は金融商品取引法で禁じられています。
従業員持株会は定期的な株の売買を目的としているため、インサイダー取引が適用されません。内部情報を知っていようが、知っていなかろうが定期的に株を購入する制度のため、インサイダー取引とはならないということです。
給料天引きのため資産形成が楽
持株会は給料天引きで株式の購入が行われるため、自分でいちいち購入したり、指値の指示を出したりする必要がないため、簡単に資産形成が行えるメリットがあります。
最初に持株会に申し込んでいて、気が付いたら資産が形成できているといった状態もあり得ます。
企業側のメリット
持株会制度は従業員だけにメリットがある制度ではなく、企業側にもメリットがあるwin-winな制度です。企業側に以下のメリットがあります。
・安定的な株主をゲットできる
・従業員のモチベーションアップ
安定的な株主をゲットできる
企業側にとっては持株会によって安定的な株主を獲得できるメリットがあります。自社の従業員が安定的な株主になってくれるため、他社やファンドは敵対的買収をしにくくなります。
従業員のモチベーションアップ
従業員は株主になるため、企業の業績が上がり株価が上がったり配当が増えたりすると従業員の仕事に対するモチベーションを上げることが期待できます。会社の業績を上げて株価を上げ、配当を上げるために、もっと仕事を頑張ろうと思うのです。
従業員側のデメリット
持株会はメリットばかりではなく、以下のデメリットがあります。
・元本割れの可能性がある
・購入,売却のタイミングを選べない
・収入と資産が勤め先に依存してしまう
・株主優待は貰えない
元本割れの可能性がある
株の購入を行うため当たり前なのですが、元本割れのリスクが伴います。リーマンショックなどの暴落相場では資産が一気に目減りするリスクがあります。
ただ、会社から奨励金が出ているため、市場と比較して元本割れのリスクは大きく軽減はしています。
購入,売却のタイミングを選べない
ドルコスト平均法のデメリットとも言えるのですが、明らかに現在の株価が高いと思っていても定期的に買付を行います。
また、売却の際は勤め先の企業にもよりますが、総務などに申請を出して承認が下り次第、自分の証券口座に株が移管されて売却が可能になります。その間に相場は変動してしまい、自分の売りたいタイミングで株を売却することが難しくなってしまいます。
収入と資産が勤め先に依存してしまう
従業員の収入と資産どちらも勤め先に依存してしまいます。
仮に、勤め先の企業が倒産してしまった場合、持株会に全資産を投じていると、勤め先の給料が無くなった上に全ての資産も失ってしまいます。自分の勤め先の会社と完全に運命共同体となってしまうわけです。
株主優待は貰えない
日本株は企業によっては配当金とは別に、株主優待として自社株の詰め合わせやカタログギフトなどが設定されています。
持株会は勤め先の株の購入を個人名義の証券口座ではなく、持株会の名義で管理しているため、株を購入しても株式優待は受けられません。
個人名義の証券口座に移管した後は優待を受け取ることは可能です。
企業側のデメリット
企業側にも以下のデメリットがあります。
・企業の業績を圧迫してしまう
・配当減少による従業員のモチベーションダウン
企業の業績を圧迫してしまう
奨励金の支給により、企業の業績が圧迫してしまうデメリットがあります。本来であれば、企業側にとって毎年の配当金だけ支給すれば良い株に加えて、奨励金を出さなくてはいけないため、企業の業績が圧迫されてしまいます。
株価や配当減少による従業員のモチベーションダウン
企業にとってのメリットである従業員のモチベーションアップと表裏一体なのですが、会社の業績が下がり、株価や配当が減少してしまうと従業員のモチベーションが下がってしまいます。
私の考える若手社員にとってのメリットとデメリット
メリット
20代サラリーマンの私が考える最大のメリットは給料天引きのため資産形成が楽な点です。
比較的金銭的に自由な若手の時代は、何かとお金を浪費してしまいがちです。給料天引きの場合、毎月勝手に資産形成ができるのに加えて、天引きされた後のお金で生活する習慣が身につくため、若い時から資産形成しやすい状態を作ることができます。
人間、一度生活のレベルを上げてしまうと、下げるのはなかなか難しいです。若手の時から少額のお金で生活する習慣が身についていると、贅沢が当たり前にならず、ちょっとした贅沢に対する幸福感を上げることができます。
また、若いタイミングから金融商品を購入することでマネーリテラシーが上がることも期待できます。
デメリット
20代サラリーマンの私が考える最大のデメリットは給料と資産が勤め先に依存してしまうことです。
投資の原則は「卵を一つのカゴに盛るな」です。私たちは普段時間という資本を投げ打って、勤め先の企業から給料を受け取っています。会社員はフリーランスと違い、副業等していない場合収入の全てを勤め先の会社に依存しています。さらにそこで得たお金を勤め先の企業に投資するのは「卵を一つのカゴに盛る」ことになってしまいます。
数年前には全く予想できなかったコロナショックで、輸送や飲食産業が大打撃を受けたように、この先どんなに大手の企業でもどうなっていくのかわかりません。そんな中、勤め先に給料も資産も依存してしまうのは非常にリスクがあるかと思います。
私は従業員持株会は若手にとってもメリットがある制度だと思います。
ただ資産の全てが勤め先に依存するのはリスクがあります。
積立NISA等でインデックス投資を主体にしつつ、あくまで資産の一部を持株会に投資するのがバランスが良いかと思います。
まとめ
持株会のメリットとデメリット、20代の若手社員にとってのメリットとデメリットについて解説しました。
持株会は市場よりも優位に株を購入することができ、魅力ある制度なのですが、サラリーマンが勤め先の給料に依存している以上、ほどほどの利用に抑えていた方が良いかと思います。
今回の記事がみなさんの生活の一助となれば嬉しいです。それでは!