日本株の高配当銘柄として非常に有名なJTですが、直近5年は株価は下がり続けています。キャッシュフローが好きな筆者にとって超高配当なJTは喉から手が出るほど欲しかったですが、詳細に調べた結果保有をしていません。
なぜJTの株は買わない方が良いのか3つの理由で解説します。
JTの直近10年のチャート
2016年を境に株価は下がり続けており、2021年2月現在で2016年と比較して半値以下までに落ちています。
JTの配当と株主優待
JTの配当ですが、2021年2月の決算で減配が発表され前期比24円減の130円になりました。JTが減配になるのは上場以来初めてでした。それでも配当利回りは6%以上となっており、日本株の配当利回りランキングではトップ10に入ってきます。
高配当に加えてJTは一年以上の株の継続保有で、株主優待も受け取ることができます。
JT関連会社の食品などを株式保有に応じてもらうことができます。
100株以上で2,500円相当の商品をもらうことができ、100株を保有している場合配当と株主優待を合わせた総合利回りは約8%になります。
100株以上 | 2,500円相当 |
200株以上 | 4,500円相当 |
1,000株以上 | 7,000円相当 |
100株以上 | 13,500円相当 |
米国の高配当株ETFとして有名なVYMの配当利回りが約3%であることを考えると、JTの総合利回り8%は非常に優れていることが分かります。
JTの株を買ってはいけない3つの理由
配当性向が大きすぎる
JTは配当性向が非常に大きいです。
配当性向:当期純利益のうち配当の占める割合です。つまり、その年の利益のうちどれだけを株主に配当として還元したかを表しています。
配当性向が大きいと株主は多くの配当を貰えるメリットがある一方、企業は研究や開発、設備投資にかけられるお金が減り、企業成長の機会を失ってしまう可能性が高まります。
一般的に配当性向は30%程度が健全と言われています。
JTの配当性向は88.1%です。利益の9割近くを株主に還元していることになります。
配当性向が大きすぎると前述のように将来性が危ぶまれるのに加えて減配のリスクが高まります。結果的に2021年2月にJTは減配を行いました。
減配が発表されると、配当は下がって株価も下がってと株主にとっては全く良いことがありません。
私がJTの株を保有していない最大の理由が配当性向が大きすぎるからです。いつでも減配、それに伴う暴落のリスクがつきまとうのは、健全な高配当株投資とは言えません。
当期純利益等の利益の種類についてはこちらの記事で解説しています。
ESG投資に反している
ESG投資:Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)の3つの観点から企業の将来性や持続性などを分析・評価した上で、投資先(企業等)を選別する方法のことです。
これまで投資を行う際は財務指標を基準としており、その会社が儲かっているか、財務状況が良いかに重点を置かれて行われてきました。
ESG投資はその会社が環境問題に積極的に取り組んでいるか、従業員を大切にしているか、コンプライアンスを遵守しているか、地域社会に貢献しているか等、財務指標上には表れない観点から投資先を選定する考え方です。
ESG投資から嫌われる業種として上げられるのは、化石燃料、タバコ、ギャンブル、酒等が挙げられます。その企業の活動によって人の健康を害したり、地球温暖化が助長されるような企業です。
JTはESG投資を重要しているノルウェーの公的年金基金GPFGから投資除外指定されています。ESG投資の流れを受けて、JTは海外投資家比率が減少しています。
現在JTの売上はタバコ、食品、医薬品などで構成されていますが、9割はタバコの売上です。従ってJTの株は売られやすく、買われづらい状況となっています。
今後もESG投資の流れが大きくなっていくことを考えると、タバコ事業を縮小してその他の事業の売上を伸ばしていくことが求められます。
世界的なタバコ離れ
男性のタバコの喫煙率は大きく減少しており、昭和40年から平成30年では男性の全年齢の喫煙率は54.5%低下しています。
JTは海外のタバコ事業の収益の方が国内の収益よりも大きいですが、WHOは今後世界的に喫煙率は減少傾向にあるとレポートしています。
タバコ産業自体が今後ますますジリ貧になっていくことが予想されています。
配当は企業の利益から捻出されるため、利益が減る見通しということは配当も減る可能性が高いということになります。
まとめ
JTの株を買わない方が良い理由を解説しました。相場よりも明らかに配当利回りが大きくなっている場合は、その背後にネガティブな要因が含んでいることが多いです。一時的な高配当を得ても、配当も下がって株価も下がっては本末転倒です。
高配当株投資は一時的な利回りではなく、長期的な利回りを考えて投資を行うようにしましょう。