6月25日に楽天証券よりハッピープログラムによるポイント付与率が変更するとのアナウンスがありました。この変更により、貰えるポイントが減る人、増える人が出てきます。
そもそもハッピープログラムとは何か、今回の変更内容、変更による影響を解説します。
そもそもハッピープログラムとは
楽天証券と楽天銀行をマネーブリッジ設定しておくことで、楽天証券の投資信託の残高に応じて楽天ポイントが毎月貰える制度です。
マネーブリッジとは楽天証券と楽天銀行の口座連携サービスで、証券口座で株を購入しようとして残高が不足していた場合、自動で楽天銀行から送金できたり、楽天証券から楽天銀行の残高を確認できるようになるシステムです。
従来のハッピープログラムでは、投資信託の保有残高10万円毎に毎月4ポイントもらうことができました。年率で換算すると0.048%の計算になります。
今回のハッピープログラムの変更内容
今回のハッピープログラムの変更で、投資信託の保有残高に対して一律10万円につき4ポイントが撤廃されます。
新たに手数料毎に5つのグループに分類され、グループ毎にポイントの付与率が決定するようになります。グループの分類及び、ポイントの付与率、銘柄数をまとめたものが下の表になります。
銘柄 グループ | ポイント | 銘柄数 | 定義 |
A | 10ポイント | 43 | 楽天証券が受取る代行報酬手数料率(税込)が、年率1.00%以上の銘柄 |
B | 5ポイント | 1872 | 楽天証券が受取る代行報酬手数料率(税込)が、年率0.50%以上1.00%未満の銘柄 |
C | 4ポイント | 702 | 楽天証券が受取る代行報酬手数料率(税込)が、年率0.05%以上0.50%未満の銘柄 |
D | 3ポイント | 7 | 楽天証券が受取る代行報酬手数料率(税込)が、年率0.036%以上0.05%未満の銘柄 |
対象外 | ー | 3 | 証券が受取る代行報酬手数料率(税込)が、年率0.036%未満の銘柄 |
銘柄の詳細はこちらに記載があります。
→https://www.rakuten-sec.co.jp/web/info/pdf/info20210625-03-01.pdf
7銘柄のポイント付与数が下がり、3銘柄に関しては全くポイントが付与されなくなります。その他2617銘柄は現状維持かポイントの付与数が増えます。
これを見て、「ポイントが貰える量が増える銘柄が多くてよかった!改良じゃん。」と思った方はちょっと待ってください。
今回の改悪になった銘柄は、楽天証券の受取る手数料が低い銘柄、つまり優良銘柄ばかりが改悪の対象になっているんです。
改悪対象の投資信託銘柄
10万円につき3ポイントになる銘柄
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ 外国株式インデックスファンド
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
ポイント付与が無くなる銘柄
SBI・先進国株式インデックス・ファンド(雪だるま(先進国株式))
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))
楽天証券つみたてNISA対象銘柄購入金額トップ10
順位 | 銘柄 |
1 | eMAXISSlim米国株式(S&P500) |
2 | eMAXISSlim全世界株式(オール・カントリー) |
3 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド |
4 | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド |
5 | eMAXISSlim全世界株式(除く日本) |
6 | eMAXISSlim先進国株式インデックス |
7 | iFreeレバレッジ NASDAQ100 |
8 | eMAXISSlim新興国株式インデックス |
9 | eMAXISSlimバランス(8資産均等型) |
10 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド |
トップ10のうち赤文字の5銘柄が今回の改悪対象の銘柄になっていました。いづれも10万円につき毎月3ポイント付与のグループになります。
安い手数料が魅力なeMAXISSlimが改悪対象になったのは痛いです。この記事を読んでいる方にも改悪の銘柄を保有している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
筆者もeMAXISSlim米国株式(S&P500)を毎月積み立てているので今回の改悪の影響を受けてしまいます(泣)。
SBI証券との比較
今回一部が改悪の対象となったeMAXISSlimシリーズはSBI証券でも購入することができます。
今回の楽天証券の改悪を受けて、楽天証券とSBI証券どちらで購入するのがお得なのか検討しました。
SBI証券でも楽天証券と同様に投資信託の保有残高によってポイントを付与する、「投信マイレージサービス」というシステムがあります。「投信マイレージサービス」は元から投資信託の銘柄によって、ポイント還元率が異なります。
eMAXISSlim米国株式(S&P500)を購入した場合
楽天証券とSBI証券どちらで購入しても購入や売却の際に手数料はかかりません。信託報酬と言われる運用管理費用は厳密に言えば若干異なりますが(ファンドの純資産によって手数料が若干変わるため)、ほぼ変わりません。
それでは楽天証券とSBI証券でそれぞれeMAXISSlim米国株式(S&P500)を購入した場合どちらがお得かシミュレーションをします。条件は以下のように設定します。
・信託報酬は両方とも0.0968%とします
・クレカ払い、ハッピープログラム、投信マイレージによるポイントバックは全て再投資
・楽天証券は1%,SBI証券は0.5%クレカ払いでポイント還元
・楽天証券は毎月10万円毎に3円ポイント還元(年率0.036%)
・SBI証券は年率0.0374%をポイント還元
・毎月33,000円をつみたてて、年利5%で20年間運用と仮定
結果は楽天証券が1359万円,SBI証券が1347万円となりました。クレカ払いのポイント還元の差分0.5%が大きく効いたという結果になりました。
ちなみに楽天証券のハッピープログラムの変更前の場合は、1361万円となり2万円の差額が出ました。
1361万円のうち2万円と考えるとそこまで大きな数字ではなく感じますが、2万円って普通に大金ですよね…。
まとめ
今回は楽天証券のハッピープログラムの変更について解説しました。
元々銘柄によるポイント還元率の設定はSBI証券の投信マイレージが先に実施していました。最近はSBI証券がクレカ払いのポイント制度を導入したり、SBI VTIを設定したり、SBI証券と楽天証券がバチバチと火花を散らしている様に感じます。
SBI証券では期間限定でクレカ払い1.5%還元のキャンペーンを実施するなど、お得なキャンペーンも実施されています。
両者のお得なキャンペーンやシステムをいいとこ取りして効率的な資産形成を目指しましょう。